本学教員がものづくりなでしこ通常総会で基調講演を行いました。
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掲載日:2024年06月24日
最終更新日:2024年07月08日
2024年6月11日、東京都の六本木ヒルズ森タワー49階において、一般社団法人ものづくりなでしこの第九回通常総会が開催され、大学院情報工学研究院知能情報工学研究系の德永旭将准教授が基調講演を行いました。
「ものづくりなでしこ」は、女性のしなやかな強さで、より日本のものづくり業界の発展に寄与することを目的に発足しました。ものづくり中小企業の経営者または次期経営者層を目指す女性に対し様々な情報交換の場や勉強会という機会を提供し、メッセージを発信することで、ものづくり企業の発展と女性活躍に貢献することを目指しています。
德永准教授は、「AI(人工知能)はモノづくりの人手不足を解消できるか?~30年運用できる外観検査AIを目指して」と題した基調講演を行いました。
講演内容は、下記の通りです。
徳永准教授はまず、「製造業従事者のうち、検査にかかる人的コストは全体の20~30%で、数百万人に相当する。負担を減らして、製造業の本質部分に人をシフトできれば伸びしろになる」と、AI技術を用いて外観検査のプロセスを改善する方向性を示しました。しかし、社会実装は道半ばであり、「課題はAI構築、実装時、人との協働、長期運用。生産ラインにおいて大量の不良画像を収集することは極めて困難だし、検出したい不良の種類が多岐にわたることもある。あるべきものがないという不良もあるし、農作物などはすべて異なる外観だ。説明可能性についても、モデル誤りやバイアスの問題は人命・倫理のかかわりにおいて深刻となる」と、課題山積の認識を明らかにしました。また、30年間運用できるAIの創出に向けては「AIの悪用による敵対的攻撃の可能性がある。撮影装置は必ず経年劣化するし、頻繁に変更が生じる外箱・容器のデザイン、素材の影響を補正するアダプテーション技術が重要になる」と指摘しました。これらに対して九州工大では、「MR(複合現実)技術に基づく人間中心型、自律型AIを研究」しており、「不良画像ではなく、良品のデータを収集・解析することで一定の成果を収めている」と報告しました。
◇ものづくりなでしこ第九回通常総会を開催しましたより引用。
講演の様子