学部長挨拶

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多様で多彩な世界を持続的に維持し、新たな世界をつくる情報工学

学部長
情報工学部長/
大学院情報工学府長 /
大学院情報工学研究院長
安永 卓生

現代は、急速な情報通信革命のただ中にあります。革命期であるが故に、産業構造のみならず、社会構造を変革し、それに伴い、私たち自身の働き方や生き方もまた、大きく変容しています。10年後,30年後、50年後、その後どういった時代が訪れるのか、目標となる国もなく、予測も難しい状況です。この革命を技術的に支えるのが、皆さんがこれから学ぶ「情報工学」です。


情報工学とは、「情報」を対象にした「工学(engineering)」です。それぞれの言葉の定義は、それぞれの場面で異なりますので、皆さんが「学び」の中で常に自ら問うて下さい。元々は、engine(エンジン:内燃機関)に由来し、生まれながらに持つ能力を指すそうです。私自身は、工学については、「マサチューセッツ工科大学」という本の中にある、「工学とは,問題解決空間の科学」という説明が一番しっくりしています。産業革命時の蒸気機関が私たちの社会、職業を大きく変えたように、従前の知識や技術といった形式知を基盤に、社会や私たち、あるいは、それを支える地球が抱える問題を見いだし、そして、それを解決する為の手段を、更に、独自の工夫を加えて、創り出す学問分野といえます。


一方で、「情報」は、情報処理学会誌の「情報という言葉を尋ねて(小野厚夫著)」を参考にすれば、元々はrenseignement(仏語)の訳語として、第二次世界大戦後、information(英語)の訳語として、科学的に使われるようになったとされています。これもまた、原著に戻って読んでみて下さい。生物を対象としている私自身にとってみると、生物はDNAにより「コード」されている情報こそがその本体であるし、人間の歴史の中で、人を人たらしめるもとしての「言葉の発明」、音声としての思考の「コード化」以来、人類は、長らく「情報」と付き合ってきたといえます。現在の「情報」は、特に、コンピュータの登場以来、知識や状況を、コンピュータでも理解できるコードに変換されたものとしてとり扱う場合が多くなっています。


私たちにとって、「情報工学」は、人間に属していた情報を、コンピュータという自動計算機械に入力し、処理し、そして、その結果を出力するための知識と技術の集合体です。これにより、人間の脳がもつ作業のうちの一部をコンピュータに外化することができるようになりました。私たちにとっては、「もうひとつの脳(アナザー・ブレイン(アナブレ))を手に入れたといえます。皆さんは、ぜひ、この情報工学部で、「アナブレ」に使われることなく、自由に使いこなす力を、「アナブレ」の能力を高め、「情報工学」を学び、創り出す力を身につけて下さい。


さて、九州工業大学情報工学部は、1986年に、「日本初の情報工学部」として設立しました。それ以来、30年にわたり、日本の情報技術を支える人材を、技術者・研究者として、毎年400人以上排出し、すでに1万人を越える卒業生が、産業界、アカデミア、教育界で活躍しています。現在でも「国立大学唯一の情報工学部」として、新しい情報通信技術の研究・開発、それらの知の発信を続けています。


2018年度より、学科構成を大きく変え、コース制を導入し、5学科13コースの体制とすることで、この変化の激しい「情報通信技術」を活用する様々な分野に対応出来る教育システムを用意しました。情報工学部の学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)をご覧ください。情報工学部全体の教育は、2005年より全学科が認証されているJABEEにより,国際標準の教育システムであることが保証されています。それぞれが目指す学習・到達目標では、情報工学部では、大学での学びを通して、皆さんが何を身につけることができるかを明示するとともに、約束しています。


学部においては、いずれのコースも、情報工学の基礎を身につけた上で、それぞれの専門分野をもつことになります。それぞれの科目の中では、課題を解決するための様々なスキルを身につけると共に、これからの変化に対応出来る持続的、かつ、自律的な学習力を、また、人々と強調しながら活動することを身につけてもらえるようにカリキュラムを構成しています。


大学院では、更に、情報工学分野における高度な知識と技術を基盤に、未知の専門的課題に対して、それを解決する為の独創的な視点からの研究・開発を行うことができる能力を目指してもらいます。専門知識はコース・モジュールとして体系立てられています。そのために、修士、博士の研究に加えて、数多くの実践的な演習科目を用意しています。


大学での学びは、より高度化し、難易度も上がります。一方で、あくまで大学で学ぶことは、これから一生涯続く学びや新しい創造のための第一歩です。世の中の価値観や知識は益々多様化します。そして、ビッグデータと呼ばれるような多量のかつ多彩な情報にあふれてきます。情報工学は、こうした多様な社会を繋いでいく糊代の役割を果たす分野であり、そのことが次のイノベーション(技術革新と社会変革)を生み出します。ぜひ,そういった時代の一端を担い、新しい時代を私たちと共に創り出していきましょう。


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