学部長挨拶

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変化する情報工学と普遍的な情報工学


学部長
情報工学部長/
大学院情報工学府長 /
大学院情報工学研究院長
坂本 比呂志

令和4年度より情報工学部長を務めます坂本比呂志と申します。よろしくお願いいたします。IT革命の起こりをアマゾン・ドットコムが誕生した1994年とするならば、それは私が大学を卒業した年ということになります。私の専攻はベゾスと同じ物理学でしたが、自分の物理学の才能に見切りを付けて情報の世界に飛び込んだのも彼と同じと言えるかもしれません。その後、平成15年に准教授として本学に赴任し、現在に至っています。このように情報という分野は間口が広く、多様な人材がこの分野に参入するおかげで、絶え間なくイノベーションが生まれる原動力となっています。


 これまでに様々な情報技術が生み出されました。あるものは社会のインフラに組み込まれ、あるものは社会に根付く前に消えていったものもあります。また、いくつかはまだ判断が保留されています(個人的には人工知能や量子コンピュータはここに入ります)。しかし、どのような技術であってもある日突然生まれたわけではなく、ニュートンの言葉を借りるなら、「巨人の肩に乗っていたから」と言えます。つまり、どのような最先端の技術であっても、先人が生み出した基礎の上に積み重なってできているのです。そのような新しい技術の中から、社会の選別に耐えたものだけが次の新しい基礎になります。


 確率統計、線形代数、微分積分は人工知能に限らず現代の情報技術にはなくてはならない基礎ですが、残念ながら若い人たちにはそれが十分に伝わっていません。数学が嫌いな人が「三角関数なんて知らなくても生きていける」という意味のことをよく言います。これまではそうだったかもしれません。しかし、これからはそうではありません。文字通り生きていけなくなるのです。数理・データサイエンス・AI教育が現代の読み書きそろばんと位置付けられ、国を挙げて理数教育を全年齢層に浸透させようとしています。


 情報工学部は、本学における情報の基礎教育のけん引役を期待されています。数学やプログラミングが専門家になるための狭い学問ではなく、読み書きそろばんと同じ基礎となるように大学・大学院における教育を実施していかなくてはなりません。また、社会人に対するリカレント教育の推進や小中高校に情報教育のプロフェッショナルを送り出す任務もあります。これらのことを着実に実施していくためのご支援をよろしくお願いいたします。


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